絵本<ピーターラビット™>シリーズ新訳を手がける川上未映子さんインタビュー公開
2022.04.08 12:00
『ピーターラビットのおはなし』(ビアトリクス・ポター:著)の初版が刊行されてから120周年を迎える2022年、早川書房がフレデリック・ウォーン社と提携し、日本における公式出版社となりました。その記念すべき年の3月、早川書房は新訳版の絵本〈ピーターラビット™〉シリーズ(全23巻)の刊行を開始します。翻訳を手がけるのは、2008年に『乳と卵』で芥川賞を受賞、2019年に発表した『夏物語』が国際的な評価を受けている小説家・詩人の川上未映子さんです。
(取材・文=三田ゆき 撮影=干川修)
──世界中で、長く愛されつづける絵本〈ピーターラビット™〉シリーズ。翻訳のお話があったとき、どのようなお気持ちでしたか?
川上未映子(以下、川上) いくつもの「びっくり」がありました。大変だろうな、わたしには荷が重いんじゃないかとも思いましたが、けれども「自分が難しいと思ったことはやりたい」という気持ちと、これまでもそうしてきたという経験がありました。それで、自宅にあったピーターラビットの絵本と、原作を取り寄せて読んでみると、詩の部分が目にとびこんでくる感じでした。お引き受けするかどうかまだ返事していなかったのに、「ここは、みっつ拾えるな」というような感じで、もう始めてしまいました(笑)。
──川上さんも、子どものころに絵本〈ピーターラビット™〉シリーズを読まれていますか?
川上 有名なキャラクターのものは読んでいました。すごいことですよね、1980年代初頭の大阪のストリート、本や文化資本なんて一切なかったわたしの家にも、ピーターラビットは入り込んできていた(笑)。お話の細かいところは記憶から抜けていても、絵ははっきりと覚えていましたね。
──お気に入りの話、お気に入りのキャラクターなどはありますか?
川上 『グロスターの仕たて屋』に出てくる、シンプキンという猫がすごくいいな、と思います。ちっとつばを吐いたりしてね、手懐けられないというか、パンクな感じ(笑)。一緒に暮らしている仕立て屋のおじいさんが自分の獲物のねずみを逃したからって、腹いせに、おじいさんの大事な糸を隠しちゃうんです。おじいさんが「糸が足りん!」「ばんじきゅうすだ、おしまいだ!」ってなってるのにスルーして。でもこの子、具合が悪くなったおじいさんを置いて外に出ると、さびしくなっちゃうんだよね。クリスマスだけど、仕立て屋とシンプキンにはお金がなくて、それなのに街はすごく浮かれてて、おんどりや猫たちが歌ってる。しゃくにさわったシンプキンは、ラップバトルみたいなことをするんだけど(笑)、やりこめられて。
続きは、ダ・ヴィンチWeb(https://ddnavi.com/interview/963588/a/)でお読みください。
【川上未映子さんによるピーターラビットへのお祝いコメント】
みんなに愛されてきたピーターラビットや、いろいろな動物たちの世界。彼らと出会う機会が増えて、もっと身近な存在になり、読者のみなさんとピーターたちが、もっともっとなかよくなれますように!
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